わたしたち志賀煎餅のある二戸市は、日本の都道府県として北海道に次いで2番目に広い岩手県の、内陸部北端に位置する市。馬淵川(まべちがわ)や折爪岳(おりつめだけ)など豊かな自然に恵まれた土地です。

奈良時代には、聖武天皇の勅命を受けた僧 行基がこの地に八葉山天台寺を開山したと伝えられています。江戸時代には南部氏の所領だったことから「南部地方」に含まれ、独特の文化が育まれました。

二戸の名前は、平安時代 この周辺の地域に敷かれていた「四門九戸(しもんくのへ)」の制に由来するといわれています。「四門九戸の制」とは、この地域を東西南北の四つの「門」と、一から九までの「戸」に分けるもので、「戸」とは「牧場」の意であるともいわれています。四戸を除き、一戸から九戸は現在でも地名として現存しています。

二戸市浄法寺町にある天台宗の寺院「天台寺」は、瀬戸内寂聴が住職を勤め(現 名誉住職)、復興を果たしたことで知られています。瀬戸内寂聴が法話を行う「青空説法」の日には各地から参拝客が集まり、境内に入りきれないほどの賑わいとなります。

また、二戸市浄法寺町を本拠として活動する漆掻き職人が岩手県北部などから採取する「浄法寺漆」は、日本国内で使用される漆の98%以上が輸入であるといわれる中、国内で採れる貴重かつ高い品質の漆として知られています。岩手県の中尊寺金色堂をはじめ、金閣寺や日光東照宮など、世界遺産や文化財の修復に用いられてきました。

二戸市きっての景勝地が「県立自然公園折爪馬仙峡」。平成18年に国の名勝に指定された「馬仙峡」は、馬淵川と安比川の合流点にそびえる男神岩と女神岩が独特の景観を生みだしています。馬仙峡男神岩展望台(標高250m)からの雄大な景色は、県北随一ともいわれています。

二戸市には、南部せんべいのほかにさまざまな名産品があります。二戸地方の高原は短角牛の一大産地。近年ブームとなっている岩手県産短角和牛は二戸市を代表する名産品のひとつとなっています。また、岩手県は全国でも有数の若鶏の生産地で、中でも二戸地方は県内最大の出荷羽数を誇ります。

蕎麦や小麦、雑穀などを水や湯でこね、茹でて食べる「しとねもの」もこの地方で親しまれている食文化です。ソバ粉を練って柳の葉の形に整え、鍋にそのまま入れる「柳ばっと」や、タカキビの粉などを練った団子をお汁粉にする「へっちょこ団子」。四角くのばした蕎麦粉や小麦粉の麺を適当な大きさに切り、豆腐やネギと一緒にゆで、にんにく味噌につけて食べる「かっけ」。小麦粉を練り、手で伸ばすようにちぎって、醤油仕立ての鍋の中に入れる「ひっつみ」など。バラエティ豊かな「しとねもの」は、ぜひお試しいただきたい二戸の味です。